紙とベテランに頼っていたメロン直売業務をDX化

2. 実施内容

約半年間の支援は、次のように進めました。

時期主な取り組み
2026年1月~2月現行業務(As-Is)の洗い出しと、あるべき姿(To-Be)の設計
3月上旬業務フローの確定。受注伝票機能の導入可否を判断
3月~4月販売王の操作説明会、ヤマトB2クラウドへの移行
5月~6月前年データを使った実践演習。動画マニュアルの制作
7月本番稼働(メロン直売シーズン開始)

2-1. 業務フローの可視化と、あえて見送った機能

【対応】 最初に取り組んだのは、現行業務の整理です。

現在の業務(As-Is)をヒアリングさせていただき、そのうえであるべき姿(To-Be)を描きました。
この作業にもっとも時間をかけました。ToBeの業務フローが描くことがDX成功の大きなカギとなります。

下図は、注文受付から送り状発行までを工程単位で並べたものです。

このフロー設計の過程で、販売王の受注伝票という機能を導入するかどうかを検討しました。

きっかけは、1人のお客様が複数の発送先へ注文されるケースがあり、これを伝票1枚にまとめたいという要望でした。受注伝票を使えば実現できます。

ただ、実態を確認すると、発送先が1つだけの注文のほうが件数としては多いことが分かりました。全件に受注伝票を起こすとなれば、大半の注文で作業が1手増えることになります。かといって、単一発送先と複数発送先で伝票の扱いを分ければ、運用が複雑になり、現場にとって分かりにくくなります。

得られる利便性より、運用コストの増加のほうが上回る。そう判断し、シーズンが始まる前に見送りを決めました。

【ポイント】 使える機能をすべて使うことがDXではありません。導入しないという判断も、設計の一部です。これをシーズン開始前に決められたことに意味がありました。

2-2. 販売王の定着と、送り状発行の移行

【対応】 業務の軸には、すでに導入済みだった販売王を据えました。

あわせて、発送の送り状発行を従来のドットインパクトプリンタ(複写式の送り状に印刷できる業務用プリンタ)からヤマトB2クラウドへ移行し、インクジェットプリンタで出力できるようにしました。高価な専用機への依存がなくなり、機器が故障したときのリスクも下がっています。

2026年1月から4月までは、当初の提案書に記載したスケジュール通りに進めました。この期間で、新たに操作を覚える社員3名に向けた操作説明会を実施しています。

2-3. 実践演習への計画変更

【対応】 5月から6月にかけては当初の計画を変更しました。予定していたExcel講座を取りやめ、販売王の実践演習に切り替えました。

変更した理由は、本番稼働後に入金まわりの操作で現場が戸惑う可能性を感じたためです。操作でつまずけば、業務そのものが止まります。Excelのスキルより、稼働後の安定を優先すべきだと判断しました。

演習では、前年の実データを使いました。売上伝票の登録 → ヤマトB2クラウドでの送り状発行 → 入金確認 → 入金登録。この一連の流れを、繰り返し実施しました。実際のシーズンで起きることを、そのままなぞる形です。

2-4. 操作マニュアルを動画で制作

【対応】 この支援で特徴的だったのが、販売王の操作マニュアルを動画で制作したことです。YouTubeに公開し、スマートフォンからアクセスできるようにしました。

動画にした利点は、複数ありました。

まず、スマートフォンを傍らに置きながらパソコンを操作できるため、習得が早く進みます。

そして紙と違い、操作手順が省略されずにすべて残ります。紙のマニュアルは、作る側がどうしても手順をまとめてしまうものです。動画にはその省略がありません。見る側からすると、この点が安心感につながったと評価をいただきました。

ナレーションには合成音声を使用しています。結果として、人が読み上げるより聞き取りやすく、好評でした。無機質だ、といった否定的な反応は出ていません。

なお、この動画マニュアルは実践演習の回と兼ねて制作・レビューを行いました。演習をしながら教材も整備する形で、2つの目的を同時に進めています。

制作した動画マニュアルの一場面。画面操作をそのまま録画し、ナレーションを添えている